| 新作 |
「ばあちゃん、ばあちゃん、元気だったな。今、戻ってきたど。」 |
| サキエ |
「だらだら、誰かち思えば、孫ん新作だらえ。船は『ず』をしたっか。」 |
| 新作 |
「ああ、おかげさんで、満船ぼ。ほらっ、ばあちゃんに鰹を持って来たど。」 |
| サキエ |
「あよっ、こんばあちゃんにや。有難がこっだら。こんたこんた、ふっとが鰹だら。一人ではぷきらんが。」 |
| 新作 |
「ばあちゃん、もう晩めっなあ。」 |
| サキエ |
「よう新作、おまやもう晩めさぷたっか。まんだれば、なんちゃいながどん、ぷていがんか。」 |
| 新作 |
「ばあちゃん、おら、今さげん、船でぷたばっかいだっど。」 |
| サキエ |
「あらっ、そにん言わんち、久っかぶいにばあちゃんとぺさ。ぷとが、ぱんとが。」 |
| 新作 |
「もうぱんちぼ。」 |
| サキエ |
「新作、若っか者な、めすどっこでんぱんな、丈夫ならんど。」 |
| 新作 |
「ばあちゃん、ゆっくいとすごっだっどん、船がい鰹を降ろさんなすまんで、船に行だっくっで。」 |
| サキエ |
「新作、まん待だんか。おまいと語らんなすまんこっが、おもさまあっとよ。おまや嫁さんな、まんか。おらんとなら、こんばあちゃんが、きもいろがい。」 |
| 新作 |
「ばあちゃん、後で言おがいち思っどっただっどん、船頭がきもいってくれっ、一航海してがい、式を挙ぐがいち思っ。」 |
| サキエ |
「だっとが、だらだら、ばあちゃんな涙があゆらいこら。新作、よめさんな、どごん誰てろさんか。みよっかっか、ぶげんさどんか、おまいが嫁さんぬ見がなっち、長生きはすんもんじゃ。」 |
| 新作 |
「だっど、長生きせんな。ばあちゃん、船がずっ前に、嫁さんぬ、けえ、連れっくっで。」 |
| サキエ |
「こら、たっとしもだ。こん家も散らがっとっで、みごず掃除をせんなら。だっ、今がい、パーマ屋に行だっみろがい。」 |
| 新作 |
「あらっ、ばあちゃんが嫁さんに行っとじゃながどがな。」 |
| サキエ |
「馬鹿わや、こんサキエばあちゃんも歳さとったどん、おまいが嫁さんに負ぐんもんか。おなごん意地よ。」 |
| 新作 |
「あーらもう、わがったちぼ。もう船に行がんなすまんで、元気でおいやいな。」 |
| サキエ |
「よう、早よ行だっけ。ばあちゃんな、忙すなった。あよっ、何かいすをがい。あれやんめをして、そいかい、まんまん様に線香を上げっ、じさんにもゆっかせんなら。ごぜんきのいそも干さんなすまん。まん、そいよっかい、何よっかい、パーマ屋に行がんな。ああ、忙がっか、忙がっか。」 |
| 新作 |
「ばあちゃん、そいならまだ来っで。」 |
| サキエ |
「よう、早よ行がんか。新作、嫁さんがこっばっかい思っ、ぽーちして怪我どんすんなよ。」 |
| 新作 |
「ああ、わがっとっちぼ。」 |
| サキエ、ちゃぶ台に足の小指をぶつける。 |
| 新作 |
「ほら、言わんこっちゃなが。」 |
|
完
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